はい、前回の投票もかなり票が割れましたね。Aが2票、Bが2票、Cが3票でした。ということでC、火炎の攻撃になりますー。
やっとゲームオーバー二回目ですね。でも「35」への分岐はかなり最初の方にも仕込んであって、一番最初に書いたゲームオーバーは実はこっちだったりするのです。(だからペースがよく分からずに、すごく長くなっちゃってます。ゲームオーバー全部この長さで書いてたらもたねえーっ! ってことで次から短くしましたが)
はじめてから約一ヶ月、現在全体の四分の一ほどが完成してます。うーん、まだまだ先は長いですねえ。
形質変化:大理石化(ふたなり)
19 カプチーノは火炎の魔法で敵全体を攻撃した。
「たぁぁ……そりゃッ!!」
彼女が杖を振り下ろすと同時に、敵陣の各所で同時に火柱が上がる。カプチーノが最も得意とする火の魔法、それも最大出力のものを喰らっては下級モンスターなどひとたまりもない。彼女達を取り囲んでいたナメクジ達は一瞬のうちに火だるまになった。
「よっしゃぁ! ……? あ、あれ……?」
だが、カプチーノも想定していないことが一つあったのである。それはナメクジたちの体液が、石油のように高い揮発性を持っていたこと。皮膚を焼き尽くされて流出したその体液はまたたく間に下水路内に充満し、あたりを火の海に変えていった。
「わ……わわわっ……!?」
「姫様……!」
「逃げるでザラメちゃんっ!! このままじゃ……ッ!?」
突然、強烈な目眩に襲われるカプチーノ。
「姫様!? どうし……う……ッ!?」
ザラメもまた、急激に意識が遠のいていくのを耐え切れず膝を突いた。原因は――酸欠。この狭い空間内に満ちた火炎が、ただでさえ少ない酸素を急速に消費しているのだった。
「く……火を……消さな……」
(ああ、あかん……もう意識、が……!)
懇親の力で魔法の杖を振り上げたところで、カプチーノの意識はブラックアウトした。
※※※
意識を失った二人の逃亡者が捕えられたのはそれから間もなくのことだった。人形のようにぐったりとした二人の身体を兵士達が担架に乗せ、排水路から運び出している。兵士達を指揮しているのは大神官シロップであった。
「回復の呪文を。ここで彼女らを死なせるわけには参りませんからね。怪我を治療したら、屋上の処刑場に連れておいでなさい……ふふふふ……」
>>35へ
35 処刑場へと連行されたカプチーノは着衣を引きちぎられ、生まれたままの姿で大理石の土台に拘束されていた。
「や……やめろ! やめろぉぉッ! 姫様! 姫さまぁぁぁッ!!」
王女同様、裸にされた状態で縛り上げられたザラメが喉も張り裂けんばかりに咆える。彼女の叫びもむなしく、カプチーノを永久石化刑に処す準備は着々と進んでいた。
「……心配しなくとも、彼女の次は貴女です。くくく、並べて一緒に飾ってあげますよ」
全ての元凶たる大神官シロップが嫌らしく笑う。
「……貴様……ッ!」
囚われの騎士は悔しさに顔を歪ませ、音が聞こえるほどに歯を食いしばった。そんなザラメの姿が目に入らぬかのように、聖帝国の魔術師達は黙々と作業を続けている。
「……ええて、ザラメちゃん。それよりも堪忍な、ザラメちゃんまで巻き込んでもうて……」
「……姫様ァ……」
「さァ! いつまで愚図愚図してるんや、やるなら早よやらんかいッ!」
小さく肩を震わせるザラメを優しく見つめていた視線が一転、カプチーノの鋭い眼光がシロップを射抜く。その眼は17歳という年齢に似つかわしくないほど力強く、直視すれば大人であろうとたじろがずにはいられなかったであろう。だが年齢不相応のものを持っているのは相手とて同じ。シロップはその視線にさらされて尚、微塵も動揺を見せなかった。
「ほほう、死よりも恐ろしい刑を前にしてそれだけ強気で居られるとは。伊達に王女を騙っていたわけではないようですね、悪魔の子よ。……そう焦らずとも、すぐに始めますよ。あれを」
シロップが顎で示すと、一人の兵士がピンポン玉ほどの球体がふたつ入った箱を持ってきた。
「それを呑んでください」
「……なんや、これは」
「じきに分かりますよ。おや、それとも怖気づきましたか?」
「……っ」
大神官のあからさまな挑発には応えず、口の中に押し込まれる球体を嚥下していくカプチーノ。そのまま丸呑みするには大きすぎるため歯を立てて噛み砕くと、口の中にじんわりと甘い味が広がった。
(甘い……なんやこれ、薬……?)
ひとつ目を呑み、ふたつ目を噛み砕いているとカプチーノの身体に変化が起こってきた。みるみる頬が上気してきたかと思うと、動悸が激しくなり、異常に呼吸が乱れてくる。曇り空の下、外気は肌寒いくらいなのにカプチーノの身体からはたらりたらりと汗が滴り落ち、あまりの熱気にその汗が湯気となって立ち上ってるという有様だ。
「く……ぁ、はぁ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……! あ、熱い……熱いぃぃっ……な、何を、なにを呑ませたんやッ……!?」
「媚薬ですよ。サキュバスの体液を絞ったものから精製した、とびきり強力なものです。貴女の浅ましい、悪魔の子としての本性を曝け出させねば刑の意味がありませんからね」
カプチーノを媚薬に狂わせられた惨めな姿のまま石像に変え、永久に王女の威信を地に貶めようとする意図は明白だった。それをしゃあしゃあと言ってのけるシロップの冷酷さに、とうとうザラメの怒りは爆発する。
「あ……悪魔は貴様だッ! 貴様のような奴が神に仕えるものを名乗るなど反吐が出るぞシロップッ! 今に必ず天罰が……むぅぅぐ」
兵士から口の中に布を押し込められ、ザラメの言葉は途中で遮られた。当のシロップは我関せずといった顔で、身を焼く昂ぶりに悶え苦しむカプチーノの姿を見つめている。
王女の股間では、媚薬の効果によって彼女のペニスがむくむくと勃起をはじめていた。自らの最大のコンプレックスを強制的に曝け出され、けして気丈な態度を崩すまいとつとめてきたカプチーノの心が折れていく。
「はぁっ、はぁぁ、く、くそぉぉ、あ、あぁぁ……っ! あかん、見るな、見るなぁぁっ!!」
真赤に充血したペニスがズクズクと疼き、いやだいやだと思っているのに勝手に腰を振りたくってしまう。そのたび下っ腹にぺち、ぺちと男根が打ち付けられるものの、手足が拘束されているためそれ以上の刺激を得ることができない。
「あぁっ! い、いや、いややのにッ、こんなのぉッ……あはあ!」
形の良い胸が、未開発の秘所が、まるで火を灯したかのような快感にじくじく焦がされていく。そして彼女を苛むのは性感帯ばかりではない。指先という指先、皮膚という皮膚、髪の毛でさえもが性器に変わってしまったような疼きを訴えていた。
「……頃合いですね。腕の鎖を外して差し上げなさい」
「なっ!?」
いま、拘束を解かれたら。
自らの手で全身をぐちゃぐちゃにまさぐり、敵の前に最も恥ずべき痴態を晒してしまうに違いない。そればかりか、その姿のままで未来永劫人々の嘲りの目に晒されるとしたら……。
「あ、あかんよぉ……やめて、やめてやめてやめてえええ!!」
カチャリ。
カプチーノの哀願もむなしく、あっけないほど軽い音を立てて鎖は外された。途端に津波のような衝動が小さな身体をバラバラに砕いてしまうかのごとく押し寄せる。全身をかきむしり、胸をもみしだき、膣口に指をつきこんでぐちゃぐちゃにしたい。醜い男性器を握り締め、しごき上げ、汚らしい精液を撒き散らして絶頂に上り詰めたい――!
「ぐ……あ、お、おおおおぉぉッ……! …………グゥ!!」
それでも彼女は耐えた。下唇を食いちぎらんばかりに噛み締め、両の拳を血が出るほど握り締めて。自らのプライドという枯れ枝一本で、カプチーノは自分を飲み込もうとする快楽の渦に抗ったのだ。
(姫様……ッ!!)
ザラメは地に突っ伏して泣いていた。この期に及んであくまで気高くあろうとする姫の姿に心打たれ、同時に彼女を救うことのできなかった自分の無力さに打ちのめされていたのである。
「ほう……まだ抵抗するとは、さすがは親子ですね」
(!? お、親子……って)
シロップの意味深な発言に、カプチーノの眼が皿の様に見開かれた。
「おや、言っておりませんでしたか?」
右目を瞑り、左目を細めて薄く笑うシロップ。王女には知る由も無かったが、この表情はシロップがチェスのある局面に至って必ず見せる表情であった。そう――相手を"チェックメイト"に追い込んだときの貌、である。
「貴女の母……エスプレッソ元女王は既に先日、永久石化の刑を受けたのですよ。最初は媚薬をひとつだけ使ったのですが頑固に抵抗されましてねえ……でも、ふたつめを投与したら素直になってくれましたよ彼女は。ええそれはもう、実に淫らで汚らわしい姿でしたとも」
「……う、ううう嘘やッ! 嘘やぁぁっ!!」
声が震える。どんな仕打ちにも決して涙を見せなかった王女の瞳が、いまにも決壊しそうなほど涙を湛えている。
「嘘ではありません。彼女がどんな姿で石になったか教えて差し上げましょうか? 右手は深々と秘所に捻じ込まれ、左手で持ち上げた胸を自分の口で……」
ぶちり。
カプチーノの中で何かが千切れた。
「う……わ、うわあああああああああ!! おおおうぁぁあああッ!!」
抵抗する力を根こそぎ奪われた王女に、もはや抗う術は無い。性欲に流されるままにカプチーノは自分の男根を捉え、反対の手で乳房を鷲掴みにする。そしてそのまま、滅茶苦茶に身体を動かし始めた。まるで自分自身をばらばらに壊してしまおうとしているかのように……。
「……術式開始」
「……はッ」
それまで直立不動だった魔術師達が動いた。台座の周囲に描かれた魔法人を十数人が取り囲み、一斉に魔法の詠唱を開始する。間もなく姫の周辺には幾重にも光のカーテンが浮かび上がり、彼女の身体もほんのりと光を帯び始めた。
「ん――! んん――ッ!!」
ザラメが声にならないくぐもった叫びを上げる。
「あぁぁあああッ!!」
ピシピシピシイッ!
乾いた音と共に、カプチーノの足が大理石に変わり始めた。つま先からくるぶし、腿からひざ……火照った肌が冷たい岩石に、柔らかい肉が固い無機質に。変化は、まるで舐めるように少女の身体を這い登っていく。
「う……あぁぁぁ……!! はぁぁ、はぁ……! や、やめてぇぇ……! 嫌やぁぁ、こんな、こんな姿で
固められるなんて嫌やぁぁッ……!」
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ぽろり。
ついにカプチーノの瞳から、屈服の涙がこぼされた。
だが無慈悲にも石化は止まらない。変化はヒップとウエストを侵食しつくし、ついに彼女のコンプレックスの象徴たるペニスへと魔の手を伸ばした。
「ああ……!」
ピキピキィッ!
マグマのように煮えたぎっていた肉棒が石に変わったとき、カプチーノは自分が永遠にその醜いモノを曝け出した姿で居続けねばならないことを悟ってしまった。
まるで伝染するかのように、ペニスをしごいていた右手が石化し始める。この手はもう二度と離れない。せめて左手だけは、と思ったが時すでに遅し……ぐにゃりと指先を食い込ませて変形した乳房の石化に巻き込まれ、引き剥がすことは叶わなかった。
もう首から下の自由がまるで効かない。涙に歪んで見える自分の身体はもはや、浅ましく自慰に耽っている痴女の像にしか見えなかった。
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「うわぁぁぁ、ち、ちくしょおッ! ちくしょおおおぉぉッ! うわああああぁぁ! うわぁぁぁああああああんッ!!」
カプチーノはもう恥も外聞も捨て……いや、強引に捨てさせられ、ツインテールを振りたくって泣きわめいた。その泣き声も喉が大理石になるにつれ、かすれて消えてゆく…………。
彼女を包んでいた光が消えると、そこにあるのはひとつの大理石像だけであった。髪を振り乱し、本来女性が持たないはずの器官をしごきたてるその姿は、気高い王女にはとても似つかわしくない――淫蕩な悪魔の化身の末路と呼んだほうがしっくりくるものであった。
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ぽつり。
どんよりと曇った空から、雨粒がひとつ、ふたつ。雨足はみるみる強まり、あっという間に土砂降りになった。
「……おやおや。それではザラメさんの処刑は後回しにするといたしましょう。……彼女を牢へ」
シロップと兵士達、そして打ちひしがれたザラメが姿を消すとカプチーノはたった一人、変わり果てた姿で取り残された。容赦なく降り注ぐ雨が目元に溜まり、そこからまるで涙を流しているかのように流れ落ちている。ごうごうという雨音が、王女の悲痛な叫びを代弁しているかのようであった。
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カプチーノたちの冒険は始まることなく終わってしまった。
Game Over
さて、それでは次回の選択肢です。
前回と前々回の選択肢からということで、08-A(ココアの勝負を受ける) 08-B(無視して突っ切る)、03-A(冷凍の魔法)、03-B(電撃の魔法)の四つからになります。
- 2008/02/23(土) 09:32:39|
- ゲームブックもどき
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